15 Storeys High

社会vs独身男

サウス・ロンドンの団地のような15階建てのマンションに住むヴィンス(Vince)。
同居人が去ったので,面接の末中国人ののエロール(Errol)を迎え入れることにしたが・・・。
同じ団地の人々の生活を映しながら、淡々と流れていく団地の日々の様子を描いたコメディショウ。
日本未公開。

制作国: uk.gifイギリス
放送時間: 30分
ジャンル: コメディ
DVD発売: Complete (UK)
初放送: BBC Choice 2002 (シーズン1) ~ BBC Three 2004 (シーズン2)
初放送(JP): 未放送

総合評価:☆☆☆☆
オフビート度:☆☆☆☆★
お勧め度:★


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ラジオドラマより

元々はBBC Radio 4で放映されたラジオショウだったというこの15 Storeys High。テレビ用に主役兼ライターのショーン・ロックが新たに書き起こしたそうです。
ラジオショウ上がりのコメディショウというと、Goodness, Gracious MeやLittle Britainといった人気ショウがあります。

放映されたのはBBC Choiceという、BBC Three(かつてのNHK BS2みたいな位置づけ)の前身で、デジタル放送されていたチャンネル。そこの数少ないオリジナルプログラムの一つです。
BBC Choiceの解体と共に、Season 2はBBC Threeに移されて放映されたようです。なので、そもそもがマイナーな場所での放映だったわけです。

今時のシングル男性像?

ヴィンス (as Sean Lock)はフラット(英では部屋のことをこう言う)の持ち主。前の同居人が去っていったため、新たな同居人として、中国人のエロール (as Benedict Wong)を迎え入れます。その前に様々な人と面接しましたが、ヴィンスについていけず全員失格・・・。

ヴィンスは近所のプールで監視員+トレーナーとして働いています。いわゆる30代独身で彼女無し。特に社交的ではなく、皮肉っぽく淡々と日々過ごしています。変なヤツというか、人間嫌いで非社会的な気むずかしい困ったヤツです。

そんなヴィンスと暮らすエロールは変わってますが、そこそこ普通っぽいです。とはいえ、ヴィンスとやっていけるんだから普通ではないはず・・・。ヴィンスの変なペースに巻き込まれながらも、なんとかうまくやっています。

相手がヴィンスなだけに苦労しているようですが、独特の立ち回り(単に気にしないだけかも)でうまくやってのけています。まあ、面白いヤツで、こちらには恐らく共感を持てるかと思います。

ヴィンス達以外の住人の様子も毎回2, 3本流れます。稀にヴィンス達との交わりもあります。

テーマは特にない

このショウ、特に何があるわけでもなく、それこそ「となりのサインフェルド」で提唱されていたような"Show about nothing (テーマのない番組)"といったところです。ですので、特に面白い!!とかそういうのはありません。そりゃそうでしょうねぇ・・・。ヴィンスに魅力ないし。

ちなみにヴィンス役のショーン・ロックが脚本を書いています。

超オフビートコメディ

the officeなんかもそうですが、イギリスのコメディってどうもこういった超オフビートなショウが作られては放映されています。ですので、楽しめるものを期待すると見事に裏切られます。

かといってつまんないかというと、そうとも言い切れず、ほええーんとしながら観ては、くすっとたまに笑ったりすることで、惰性的に満足するといったところです。

このショウを人には勧めはしませんが、1人でなんとなく観ている分には悪くないです。というわけで、ちっともオススメしませんが、なんかわびさび?みたいなのがあって、好きです。

って、昨日観直したらそんなに面白くなかった・・・。悪くはないけど・・・。




社会的視点から

ヴィンスは独身で、近所とも会社とも付き合いがほとんどなく、社会人だけどあまり社会に適応していません。職場の同僚とは仲良くないですし、友人が訪れてきたり、一緒に出かけたりということはありません。

見出しに「社会vs独身男」と書きましたが、単に結婚していないという意味ではなく、社会から孤立しかけているという意味での独身です。

日本の同様の境遇の人たちと異なる点は、エロールという同居人がいることです。彼とも親しいとは言えませんが、一緒に住めるだけの関係は保っています。また、良い関係かどうかは別として、少なからず団地の住人たちとのコミュニケーションがあります。

コミュニケーションといっても、適当な挨拶やクレーム、子供をからかったりなどで、深い関わり合いはありません。ヴィンス自体、話しかけやすいようなタイプではないし、自身もできれば他人とかかわりたくないというスタンスです。

ヴィンスは一言で言うと寂しい男です。そんな人ですが、つまらない日々の繰り返しの中にも、生身の人間と接する事で、面白みがあることを教えてくれている・・・のかもしれません。

直球評価!!

・はっきり言って面白くないんじゃないかと思うこともある。
・脚本のショーン・ロックは実生活もヴィンスだと思う。
・エロールは面白い。
・マンションの他の住人のシーンはいらない。
・なぜかこのショウにひかれる。
・なんだかんだ言って、ヴィンスは話せる相手がいる。
・でも、こうはなりたくない。


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