Bad Girls

塀の中の女達の戦い

スコットランド南部にある女性刑務所。このGウィングで刑を受ける女性受刑者たち。
そんな彼女たちと、監視する看守たち。
それらを取りまとめる新たにGウィングのウィング所長として赴任してきたヘレン。
塀の内側のみならず、外側や私生活も巻き込みながら、お互いのしのぎを削る日々が続く。
日本未公開。

制作国: uk.gifイギリス
放送時間: 48分
ジャンル: 犯罪
DVD発売: Season 1~8 (UK), Season 1 (US)
初放送: ITV 1999~2006
初放送(JP): 未放送

総合評価:☆☆☆☆
どろどろ度:☆☆☆☆
続き期待度:☆☆☆☆

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そこはただの地獄か・・・

みなさんはイギリスの女性刑務所というとどのようなイメージをお持ちでしょうか。日本の刑務所をイメージすると、食事して働いて寝ての繰り返しというイメージがあります。

このショウを見る限りでは、受刑者(Inmate)たちは非常に自由があります。私服を着て、私物を持ち込むことができ、タバコを吸うことすらできます。構内をフラフラして仲間たちとお喋りをすることもできます。なんとも自由な環境。たまにテレビなんかで観るアメリカの刑務所と変わりませんね。

日本と比べると自由な環境ではありますが、外界から切り離されたこの環境は自由が制限されているため、彼女たちの心を蝕んでいきます。家族、子供、恋人と離れ離れになり、許されるのはわずかな面会時間と電話のみです。そう、彼女たちには出所を待つ人もいるのです。

それ以上に彼女たちを苦しめるのが、ここでの人間関係。タイトル通りのバッドガールがうようよしているので、トラブルから身を隠して生き続けるのも容易ではありません。自由に受刑者同士が触れ合える反面、そうした時間が複雑な人間関係を生み出してしまいます。

トラブルの多い彼女たちを脅かす処分は、独房に放置されることや、より狭い監獄に移されること。そしてトランスファーと呼ばれる、より自由の少ない他の地域や別の施設への送還です。これをみんな非常に恐れています。

舞台となるのはスコットランド南部の町、サウス・ラナークシャーはラークホールにあるHMP (Her Majesty's Prison Service=女王陛下の刑務所?ってか、イギリスは公的な物にはよくこれが頭につく)。すなわち刑務所の,Gウィングと呼ばれるエリアが舞台です。

このGウィングを統括するウィング所長はヘレン・スチュワート (as Simone Lahbib)。若くして出世コースに乗る彼女は,真面目で肝が据わっていて、ここを任せるにふさわしい人物です。私生活ではショーン・パール (as Oliver Fox)という恋人もいますが、彼女のこの危険とも思われる仕事を完全に受け入れているというわけではありません。

受刑者の中でGウィングを支配しているのが、終身刑囚(Liferという)のミシェル・ドックリー (as Debra Stephenson)。通称シェル。肉体関係を持つことで看守長のジム・フェナー (as Jack Ellis)の後ろ盾を得ていて、ここでの生き方をマスターしているといえます。

敵も多いですが、ジムを利用してうまく叩き潰しています。彼女と比較的仲が良いのがレズビアンのデニー・ブラッド (as Alicya Eyo)で、いつも行動を共にしています。権力のあるシェルと行動を共にすることで、その恩恵を受けています。

レイチェル・ヒック (as Joanne Froggatt)は新しくやってきた10代のシングルマザー。このタフな場所での保護を得、生き抜くために、これまたジムに持ちかけられ、肉体関係を持ちます。看守の中では最も地位の高いジムがこれです。もうまともに機能していません。

ジムは野心家で、ヘレンのいるウィング所長の地位を狙っています。そのため、しばしばヘレンと衝突します。真面目に運営を考えているヘレンと、非合法でありながら、権力と懐柔をうまく利用するジムなので、衝突は不可避です。お互い目の上のたんこぶ。ちなみにジムは結婚していて子供も2人います。誰もが認める腐れ野郎です。

ジムの役割とは、数人の受刑者を担当としている各監視員に不適切な関係が無いかや、受刑者の状態に特に注意を払う役割です。はい、できてません。

受刑者同士のごたごたもやっかいなのですが、受刑者が看守たちの弱みを握ったりして、彼らに取引を持ちかけたり、他の受刑者を陥れるために看守を利用したりと、生き抜くために誰もがしたたかです。

看守たちを見ている限りではかなりタフな仕事で、特にトラブルの多いGウィングともなると、気も狂わぬばかりです。

ベテランのジムや嫌われ者のどすこいおばちゃんシルヴィア・ホランビー (as Helen Fraser)は、さすがその辺も心得ているようで、比較的ストレスをためず、うまくやっています。若いドミニク・マカリスター (as Joe Shaw)やローナ・ローズ (as Luisa Bradshaw-White)は。そこのところ苦労しているようで、精神不安定です。ベテランも大したサポートしないし。

受刑者の中には,Two Juliesの2人、ジュリー・サンダース (as Victoria Alcock), ジュリー・ジョンストン (as Kika Mirylees)のように、陽気で比較的真面目な人たちもいます。いつも大きなトラブルからは距離を置いて、周囲ともうまく付き合っています。

他には警官殺しで終身刑囚であるレズビアンのニッキ・ウェイド (as Mandana Jones)、ヘロイン中毒のザンドラ・プラケット、通称ザン (as Lara Cazalet)、ギャングのボスの妻で、肝の据わっているイヴォンヌ・アトキンス (as Linda Henry)などが主な受刑者です。彼女たちによる憎しみ合いや、純粋、または捻じれた友情・愛情などの人間関係は見所です。一言で言うとどろどろです。

こういう環境で刑期も様々なので、人の入れ替わりは激しいです。新しい受刑者、看守そしてウィング所長の地位とて安泰ではありません。新しい人たちは新たなトラブルも持ち込みます。

受刑者間だけでなく、看守やウィング所長たちの政治的ごたごたもなかなか面白いです。ラークホールの無能な刑務所長、サイモン・スタバーフィールド (as Roland Oliver)は表向きのことしか考えない輩で、彼の根拠の少ない決断にはしばしばうんざりさせられます。ついついHelenを応援してしまいます。

それにしてもセキュリティ甘い・・・。そうじゃないとドラマもなりたたないんでしょうけど、禁止エリアへの侵入や脱獄にドラッグなどの持ち込みなどが横行しています。まずは面会の監視を徹底した方がいいよ。

わたしはジムやシェルが大嫌いで、ウィング所長のヘレンが好き(多分普通のファン)なので、応援したり憎んだりして観ているうちにはまっていきました。常にそういった応援したくなるキャラとむかつくキャラが入れ替わり立ち代わり出てくるので観やすいです。

これは非常に面白いです!!煮えくり返るようにむかつくシーン、恐いシーン、気持ち悪いシーン、感動的なシーンを次々と提供してくれます。様々な登場人物が出てきますので、共感を持てる人物が見つかれば楽しんでいけると思います。さっさと出所されて出てこなくなったら困るけどね・・・。

直球評価

・ジムはむかつくが、いいキャラを出している。
・シェルの恐さが感じられない。
・好きなキャラが卒業すると観る気が失せる。
・むかつくキャラをよくもこんなに集めたと感心する。
・そのため感情移入しやすい。
・気分が暗くなる。
・イギリスのベストドラマの一つ。

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