Hiccups

成功の秘訣は失敗の元?

ミリーは世界中で大ヒットしている子供向け絵本作家。
6歳児のようにわがままし放題で、感情を抑えられないことが、絵本のネタになっている。
社会に適応するため、ライフコーチのスタンを頼るが、彼は特別な訓練も受けていないし、経験も無い・・・。

制作国: ca.gifカナダ
放映時間: 23分
ジャンル: コメディ
DVD発売: シーズン1(CA)
初放映:Space 2010~2011 全2シーズン 全26話
初放映(JP): 未公開

シーズン1全部観ました。
シーズン1DVD買いました。

総合評価:☆☆★
キャラクター性:☆☆★
お笑い度:☆☆★


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ミリー・アップトン (as Nancy Robertson)といえば、世界中で大人気の子供向け絵本の"グランパルー"シリーズの作者。超有名人で大成功を収めています。が、その実態は、感情が抑えられず、怒りが噴出したら止まりません。そのため、いつも周囲に迷惑をかけ続けています。

そんなミリーが偶然見つけたのが、ライフコーチのスタン・ディルコ (as Brent Butt)。きっと自分をよい方向に導いてくれるに違いないと、助けを求めます。しかしスタンは事務所を開いて6ヶ月間、一人も顧客に恵まれず、ミリーが初めての顧客です。

しかもスタンは特別な訓練を受けたことが無く、経験もなし。ライフコーチって特に資格など必要ないのです。それでも、ミリーが助けを求めた時には、何かしらのアイディアを常に出すことができます。ミリーはよくわかっていないので、スタンのおかげだと思っています。

スタンには、彼を元気づけてくれる妻アンナ (as Paula Rivera)がいます。ちょっと抜けていますが、いつも明るく、スタンを信頼しています。顧客がいなかった時も常に前向きで、今も前向きです。植物に詳しいので、ミリーが勤める会社で植物の世話をする係として雇われます。

ミリーのボスはジョイス・ハディソン (as Laura Soltis)。ハディソン・ハウス出版の社長です。数々のヒット作品を出版し、業界では一目置かれていましたが、今や下り坂。そんな中、ミリーのヒット作に助けられています。なので、ミリーが暴走しても、手放すことはありません。

ハディソン・ハウス出版の受付は、融資を受けている銀行家の娘、クリスタル・ベイウッド (as Emily Perkins)。いつも携帯をいじっているし、機嫌は悪いし、全く使えません。ジョイスも手を焼いていますが、クビにできません・・・。非常に気難しい子です。

テイラー・ライムス (as David Ingram)は、ミリーの著作権代理人です。ほとんど役には立っていませんが、ミリーと何とかうまくやっているので、その座におさまっています。ハンサムで女性に声を掛けまくっていますが、うまくいくことはほとんどありません。

ミリーの感情の爆発は発作のように起こるので、"Hiccups"(しゃっくり)とミリーは呼んでいます。それが起こる度に、スタンの事務所に助けを求めにやってきます。ミリーはスタンのことを"Doc"と呼びますが、ただのライフコーチです。医者ではありません。

ジョイスは、精神科医に通っていると思っていましたが、ライフコーチというよくわからないところに通っていると知り、動揺してしまいます。スタンも何だか頼りなさそうですし・・・。しかし、ミリーがあのDocが良いというので、仕方なく認めています。

ショウの最後には、ミリーのその回の経験を基にした絵本のストーリーが、グランパルーのイラストと共に流れます。またこのストーリーが子供向けなんかい?というような内容なんです・・・。教訓的内容に乏しいこともあります。

グランパルーは、卵型の身体に手足が付いたような人類です。彼らがうようよしている、ほとんど現実世界と変わらないような世界ですね。そのグランパルーというキャラクターが子供に受けているようです。わたしにはこのキャラクターの魅力がわかりませんが・・・。

ミリーは独身で、絵本で成功していることもあって、優雅な生活をしています。といってもあからさまにお金持ち!という感じではなく、お金をどう使うかよくわかっていないようなので、生活はいたって普通です。

ショウは完全に「Corner Gas」路線で、何だかのんびりほんわかしています。とはいえ、そののほほんとした雰囲気はミリーの"Hiccups"によって打ち破られます。このちょっと視聴者の気分を害するようなミリーの暴走を受け容れられるかどうかが、ショウの好き嫌いの分かれ目です。

良い言い方をすれば子供っぽいなのですが、下手をすればうんざり系のアホっぽさです。そして、爆笑できるような面白さではありません。アホだなぁ~と眺めるような流れです。ミリーとスタンのなんとなーくなやりとりを傍観しながら楽しむようなショウなのです。

ここがこのショウがロングランにならなかった大きな要因だと思います。今回も「Corner Gas」同様、ブレント・バットが制作総指揮(Exective Producer)であり、監督であり、脚本も兼ねています。うーん、キャラ設定失敗してるだろ・・・。

また、受付係のクリスタルの態度も観ていて笑えると言うよりも、気分が悪くなってしまうので、こちらもどうかなと思います。

そうした種々のバランスが、絶妙なところに行かず、悪い方向に傾いているといった印象が非常に強く残ります。とりたてて面白くはないけれども観て楽しめる「Corner Gas」に対し、こちらも面白さ(面白くなさ?)としては同程度ですが、その他の要素で劣ってしまいました。

愛せるキャラクターは、ちょっとずれているというか、おとぼけながらも天真爛漫のスタンの妻アンナ、そしてそれに励まされて頑張るスタンだと思います。タイラーは何とも言えないですねぇ・・・。

恐らく「Corner Gas」の後釜として非常に大きな期待を背負っていたことと思いますが、その期待にはこたえられなかったようです。終了してしまった今となっては、ブレント・バットの次回作に期待したいところです。

キャラクター設定的視点

どのようなショウにしても、キャラクター設定は肝となります。登場するキャラクターを愛せるかどうかで、ショウの好き嫌いの大半が決まってしまいます。大半は大げさですが、大きな要素であることは違いないでしょう。

このショウのミリーのように、エキセントリックな主人公の場合、その奇行を笑えるかどうかが一つのポイントとなります。ミリーの場合は、他人対して当たり散らすので、観ている方はややうんざりしてしまいます。

また、あまりにも自分勝手でわがままで、まさに小学生のような子供っぽさなので、大人の視聴者からすると、どうしても共感できないところもマイナスだと感じます。

例えば、「ラリーのミッドライフ★クライシス(curb your enthusiasm)」のように、誰の身の回りにも起こりうるような状況で、主人公はそれほど悪くないのに、災いに巻き込まれてしまうといったような流れであれば、例えそれほど主人公を愛せなくても成り立っていくのです。

そして、主人公のその負の部分を覆い尽くすほどのキャラクターも存在しません。役に立っているのかどうかわからないスタンでは、笑いの要素は多少醸し出せますが、笑いで解決するほどの明るさのようなものはありません。

恋愛要素がないのも問題点の一つですかねぇ・・・。

主演のナンシー・ロバートソンは、「Corner Gas」ではワンダという似たような役柄でした。ミリーから"Hiccups"を取り除いたようなキャラですね。それほど目立った色彩を放っていたわけではありませんが、印象に残るキャラではありました。

「Corner Gas」の主役級の2人がこのショウでも主役を務めていたので、どうしても比較してしまいます。そんな中で、前作を越えられなかったという壁を、強く感じざるを得ません。

 

直球評価

・主演の2人が「Corner Gas」出身なので、同じ者を期待してしまう。
・正直笑えはしない。
・ミリーの奇行にイライラさせられる。
・クリスタルも今ひとつ。
・周囲がそれを包み込めない感がある。
・アンナが唯一の救い。
・悪くはないけど、楽しみにして観るほどではない。
・お茶の間向けではない。


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