ジェリコ 閉ざされた街 (原題:JERICHO)

新しいアメリカの歴史が生まれるとき

アメリカのど真ん中に位置するカンサス州のジェリコという街。
そこで慎ましく暮らす人々は、ある日轟音と共に立ち上る巨大なキノコ雲を目にする。
そして、社会から分断された彼らの手探りの生活が始まる。
一体アメリカに何が起こったのか?という不安におびえつつ・・・。

制作国: アメリカアメリカ
放送時間: 43分
ジャンル: SF
DVD発売: シーズン1〜2 (US)
初放送: CBS 2006〜2008 全2シーズン 全29話
日本初放送:Sci-Fi 2008 全シーズン

総合評価:4.9/10 4.9/10
世界観:7.8/10 7.8/10
ストーリー展開:6.8/10 6.8/10


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アメリカの終焉

軍での生活を終え、祖父の遺産を受け取るために故郷のジェリコに帰ってきたジェイク・グリーン (as Skeet Ulrich)。
家族や旧友と再会し、新しい生活を始めようというところでしたが、父親から遺産の受け渡しを拒否され、失意のまま街を去ろうとしていました。

そんな矢先、地平線上から核爆発によるものと思われる巨大なキノコ雲が轟音と共に立ち上ります。通信は途絶え、ジェリコは外の世界から分断されてしまいます。

人々が期待するであろう、政府や軍からの救援は来る気配もなく、不安は広がっていきます。爆発があったであろう、デンバーだけでなく、ひょっとして合衆国全体に何かあったのでは?
戦争? テロ?そんな憶測が飛び交います。

ジェリコの人々

ジェイクの父、ジョンストン・グリーン (as Gerald McRaney)はジェリコの市長で、孤立した人々を統率していきます。
市長選の候補者で、ジョンストンの政敵であるグレイ・アンダーソン (as Michael Gaston)も、自分の権力を示すために、率先して人々を導こうとします。
どちらも自分がリーダーという自負があるため、しばしば衝突します。

一番の問題は、食料やエネルギーがごく限られた資源になったことです。
片田舎なので、食料はまだ何とかまかなえますが、電気やガソリンはごく限られているため、生活がかなり制限されてしまいます。
また、そういったものの奪い合いが街中で起こったり、他の街とのいざこざになったりします。

そんな中、元警官を自称し、最近ジェリコに越してきたばかりのロバート・ホーキンス (as Lennie James)は、一人だけノートPCでどこかと通信して、様々な情報をやり取りしています。
今回の事態について色々と知っているようですが、街の人とはちょっと一線引いて、あまり付き合わないようにしています。

彼には妻のダーシー (as April Parker-Jones)と2人の子供、アリソン (as Jazz Raycole)とサミュエル (as Sterling Ardrey)がいるので、家族を守ることが同様に重要です。

その日から

意外と街中はパニックにもならず、発狂する人もいなくて平穏です。
もっと混沌とするような気もするんですが、そこは片田舎ならではなのか、情報がないからなのか、とんでもないことにはなりません。
ただ、少しずつ迫り来る資源の減少に関しては、誰もが神経質になっています。でも、そんな言うほどでもないかな・・・。どこかしらのんきなんですよね、みんな・・・。

そんなこともあってか、事態が発生してからそれぞれの考え方が変わったりするのかと思いきや、それもあまりない。ちょっと描き方足りないんじゃないの?ってさすがに思ってしまいます。

まさにここがこのドラマの最大の問題点です。リアリティを追求すべきなのにそれがない。
迫真に迫る演技も演出も無く、ドキドキ感が圧倒的に足りません。だから、共感もしにくいです。

視聴者が深く考え、味わいながら観るなんてことを期待しているなら間違いで、ぽーっと観ていても引き込まれる作りにする必要があります。
そういった要素が足りないのです。

さておき、どちらかというと、焦点は内部の小さいところよりも、他のコミュニティとの付き合いの方に重点が置かれているように思います。
そこで初めて意見が分かれて、ジェリコ内で対立が起こるような感じですね。

周りのコミュニティも、共存で多くを得られるのなら話は早いのですが、自分たちのコミュニティの利益になるような体制にしたいので、そこで意見の衝突が起きてしまいます。

まあ、普通の世界でも起きてることですね。

序盤はジェリコ内のちょこちょこした事件にスポットが当たっていて、あまり面白くないです。
でも、うまくテレビっぽい作りになっていて、それなりにはらはらさせてくれます。
やはり面白いのはシーズン1後半くらいからの、ニューバーンという隣町とのやり取りのあたりです。

くわえて、ホーキンスが少しずつ、何が起こったのかを明らかにしてくれるのでそこが楽しみです。このラインはかなり面白いです。
というか、これが主軸であるべきだとは思いますが・・・。

アメリカも終わったが、ショウも終わった・・・

ショウは序盤のダラダラさが響いてか、それほど視聴率が取れないままシーズン1終了後にキャンセルが発表されます。
それに激怒したファンが、CBS is nuts!!(ナッツって頭おかしいみたいな意味の方)のかけ声の下に、大量のピーナッツ(20トン)をCBS本社に送りつけました。

その熱意を脅威と感じたCBSは、仕方なくフルシーズンではなく、ミッドシーズン7話の制作を発表します。
結局それもちっとも視聴率が取れず、シーズン2でキャンセルとなりました。

テレビ局はあくまでビジネス目線ですからね。一部に超熱狂的ファンがいようが、稼げなきゃポイです。

シーズン1、22話、シーズン2、7話の全29話です。
シーズン1が22話もあったことで、全体を間延びさせてしまって失敗したというパターンですね。

プロモーション的には、「アメリカで熱狂!」とかって言っていますが、ごくごく一部のファンが異常に騒いだだけですよ・・・。

日本での放映とレンタル

わたしはある日、TSUTAYAでこのJERICHOのDVDが並んでいるのを見て、非常に驚きました。
こんな途中でキャンセルになった、しかもそれほど面白いとは全く言えないショウをよくレンタルリリースするなぁと。

まあ、先にサイファイチャンネルでやったからというわけなのですが、それにしてもサイファイチャンネルも、新番組なくてこんなのにまで手を出すとは・・・。
きっとレンタルも大失敗に終わったことでしょう。




よくあるネタ的視点

ネタ的には、9.11やハリケーン・カトリーナのようなことが、一度に全米で起こったらどうなるのか?というコンセプトが基だそうです。
実際に起こったら彼らの言うアメリカがアメリカでいられるのか?それぞれの地域に住む人たちはどのように反応するのか?それを描いたのがこのショウです。

はっきり言ってSF小説なんかは、このようなものをテーマにしたものは非常に多くあります。
そんな中でこのショウは、途中から新しいアメリカをテーマにしているようです。
後半ではそうした政治的な話が出てきて面白いですが、これは今のアメリカに対する批判でもあり、問題提起でもあります。

面白いなぁと思ったのは、新しいアメリカの歴史教科書が作られたシーンで、今までのアメリカを否定し、今回の出来事を肯定するように書かれていました。
これって今のアメリカもそうなってること?と思わせます。

多少、アメリカ史の知識があるとより楽しめます。シーズン2からの話ですが。
何故起こったか、誰が何の目的で起こしたのかを追究していくという話に持って行ったのですが、途中で終了と。

突っ込みどころの多いショウではありますが、色々と考えさせてくれるよいショウだと思います。
というか、小松左京の「日本沈没」ってこんな感じ?読んだことないんだけど・・・。

直球評価

・狙いはいいけど、演出全般がいまいち。
・そのせいでリアリティに欠ける。
・ちょっと真面目すぎてかたい。
・何だか人物描写が足りない。
・ジェイクに共感できなくて・・・。
・全体のストーリーは悪くないので、きちんと終わらせて欲しかった・・・。

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