ケニー・ホッツ（Kenny）とスペンサー・ライス（Spenny）は無二の親友。しかし彼ら2人はなぜか戦う運命にある。お互いのプライド。栄光、そして罰ゲームを賭けて。毎週無意味な戦いを繰り広げていきます。

Competition（対決）というと聞こえは良いのですが、この戦い、公正とは言い難いものもあります。

かなり邪悪なケニーは、いつも姑息な手段を使って優位に立とうとします。もうあまりにも卑怯すぎて、観てて笑えます。めちゃくちゃすぎて、たまに喧嘩になります。でもどこまでが許されて、どれはルール違反とか明確じゃないですからねぇ・・・。こうしてケニーがスペニーをあおるから面白いのかも・・・。

ただ単に卑怯な場合もありますが、うまく頭を使っていることもあります。でも卑怯を超えて、たまにズルしてて、対決になっていないこともよくあります。単にスペニーが陥れられてるだけということもしばしば・・・。これ、オンエア観たらばれっての・・・。

ピグモンみたいな弾けた髪型でぎょろ目の方がケニーで、デヴィッド・シュワイマーをもっと貧相にしたような感じの方がスペニーです。ケニーはホント邪悪でアホです。スペニーはちょっとまじめですね。いじめられそうなタイプ。

ケニー・ホッツはテレビ業界で活躍していてまして、サウスパークの脚本を書いたりもしています。それだけあって、頭がいいです。かなり冴えています。しかもお金持ちで人脈も豊富です。

一方のスペニーは、ただの一般人です。ケニーにないものといえば、真面目さやひたむきさ。この対決ではほとんど役に立ちません。それでも真面目に必死に頑張ります。

また、テレビ的に何がどうかということも考えていて、このケニーとスペニーの構図が対決を盛り上げています。それにしてもケニーは非常にセンスがあります。

Humiliation（訳すなら罰ゲーム）は勝者が考えるようで、もちろんひどいものが多いです。公の前でやることもあり、テレビに映していいのか？というものもあります。これはちょっと・・・というほどのものはないかな？ケニーがずるをしていても、その場ではわからないために罰ゲームは執行されます。

どの国にもこういった企画や番組はあると思います。ネタ自体もおそらく新鮮ではないと思います。何が他と違うかというと、2人のキャラクタ性とコントラスト。そしてルーズなルールとのびのびと悪事を働く天才ケニー。これらがこのショウの特長です。

オープニングシーケンスいいですね。好きです。

このショウの作りが気に入られたのか、全く同じシーケンス（オープニングも）で、現地のキャストを使ったショウが、各国で作られました。
彼らがやった内容をスクリプト化し、役者が演じるというものです。
トルコ、ポルトガル、イギリス、コロンビア、ドイツなどで放映されました。これには驚きです！！

国によっては、彼らの対決をそのまま脚本として、役者が演じているものまであります。それほど2人が実際に行った対決が面白いということだと思います。

お下劣なものが多くて低俗ですが、日本でも受けると思います。食事中に観たくない映像や、教育に悪そうなものもあるので、熱望はしないですけど・・・。

いまいちよく伝わらないということで、いくつか内容を挙げておきます。

どちらが目隠ししたまま長く生活できるか？
スタート時、ばれないことを確信して目を隠さない卑怯なケニー。
そして、スペニーを攻撃し続ける。

どちらが短期間で多くの体重を落とせるか？
まともにエクササイズに励むスペニー。
それに対し、ケニーは薬や腸内洗浄といった金を使った奇策に出る。

どちらが美しくフィギュアスケートを滑れるか？
スケートの経験のあるスペニー。だが、ケニーは滑ったことがない。
そんななか、練習中にケニーが骨折！！対決はどうなる？

どちらが長く立ち続けられるか？
「Stand」の定義、「Lean」についての定義などでもめまくる。
結局は30cm四方のスペースに立ち続けることに。

どちらが子供に好かれるか？
とにかくお菓子を与えまくって買収に走るケニー。
一緒に冒険をして苦労して宝の山（お菓子）を手に入れることで、努力の大切さを説くスペニー。

どちらが女性にモテるか？
ケニーは審判員の女性に偽スペニーを送り込む。
何も知らないスペニー本人には、ケニー息のかかった偽審判員の女性とデートさせる。

どちらが力強いのか？
なんと今回はケニーの妹ミリアムとスペニーが対決。
3ヶ月前から鍛え始めたミリアムに、男であるスペニーは勝てるのか？
両者とも心理的な揺さぶりをかける。

どちらが素晴しいファッションデザイナーか？
準備期間は2日。
スペニーは国旗を使い、国際色と平和を訴える。モデルは男性。
ケニーは女性モデルをオーディションし、KOS（Kenny Ocean Swimware）をテーマに、その辺で拾ってきたもので作る。

どちらが料理がうまいか？
ケニーが必ずズルをすると読んだスペニーは、自分のズルに加担してくれるシェフを探す。
一方ケニーは、様々な美味しい料理をたいらげた後母親の元に走り、意外にも真っ向勝負を挑む！！

最後にちょこっと描きますが、シーズン3以降はかなりひどくて、ちょっと観てられません・・・。お勧めできないシーズンです。他はひどいながらもまだ観られる方だと思っています。

それでも観て笑ってしまう自分にちょっと幻滅・・・。

ケニー・ホッツは、2011年から一人でやる版の「Kenny Hotz's Triumph of the Will」を制作しています。

スペンサー・ライスは、「Single White Spenny」という、パートナー探しの番組を制作しています。観てみたい・・・。

コメディ的視点

どこからどうみても超低予算。やってることは日本で言うならば深夜番組レベル。しかし、それを国際的人気番組に仕立て上げたケニー・ホッツの才能には頭が下がります。

リアリティショウは、必ずしも面白くなるとは限りません。それを面白くするのが芸人の仕事であり、プロデューサーの仕事です。毎週の題材を考える際、ケニーはどうやって盛り上げるかも予め考えながら設定しているのでしょう。とっさのひらめきだけではないようです。

さすがに面白くするのが無理なものもあります。しかし、とんでもないズルや相手を直接攻撃するなどして、視聴者の想定外の行動に出ます。さすが業界を知っているだけあって、視聴者を意識しています。とはいえ、芸人なら誰でもできるというわけではありません。

ケニーは親友としてスペニーを知り尽くしているということも挙げられます。スペニーは一般人でふにゃっとしていますが、アホな企画に対して真面目に頑張る姿はさすがです。そういうところも真面目で、そこをケニーに易々とつけいられます。

権利はケニーが全て保持しているらしく、YouTube公式チャンネルで、全てのエピソードが観られます。

直球評価

・ケニー・ホッツを観る番組。
・彼のセンスが溢れ出す。
・同時にお下劣さや非社会性も溢れ出す。
・題材はいたって普通だが、面白く成立させるところが凄い。
・ズルを許すところが大きな違い。
・やり過ぎシーンは多々あり。
・ひどすぎる物もいくつかある。
・それでも番組として成立させたのは凄い！