30 Days◆モーガン・スパーロックの30デイズ

30 Days

by Yukio (Bob) Fukuda

Showについて

Official Site (FX)
オフィシャルサイト (WOWOW)

Season 2 DVDレビュー

It's serious show, not funny thing

Super Size MeのMorgan Spurlockが，自身を含め別の人の生活に30日間浸るというもの．普段の自分と違う生活が，彼らの何を変化させるのか．アホなShowではなく，多くを学ぶ 意外と真面目なReality Show．
邦題は「モーガン・スパーロックの30デイズ」．

みなさんはSuper Size MeというShowをご存じでしょうか．日本ではたぶん2007年に公開されたもので，Morgan Spurlockが30日間Mac Donaldの製品のみを飲食し，それが生活にどういった影響を与えるか体現するというDocumentary．結果は想像以上のもので，気持ちの悪いおなかを作るだけでなく，内臓器官や精神にまでダメージを与え，その危険性を示しました．残念ながらOscarのDocumentary部門ではNominate止まり・・・．

ある部分だけを切り取ると死ぬほどアホで笑える内容ではあるのですが，ここまで極端にやらなくても，いかにファーストフードと言った物が人体に悪影響を及ぼすかがわかり，普段の自身の食生活を振り返って戒めることもできるわけです．

Morgan Spurlockはこの30日間の中で，まるで自分が自分でない別人になったような気分になったらしく，このように普段の自分とは違う生活をしている他人の生活を30日間体験してもらおうというのがこのShowのコンセプトなのです．同じネタである食べ物ではなく，社会で問題となっているSubjectを取り上げて，それを実践してもらうというものです．

Show Premiereでは，Morgan Spurlock自身がMinimum Wage，最低賃金での生活をGirlfriendのAlexandra Jamiesonと体験するもの．もちろん一つの仕事ではやっていけるわけもなく，2人して複数の仕事を持ち，家計のやりくりに挑戦します．彼はその他のEpisodeでも，Hostとして登場します．

このほかには，ステロイドを使用したAnti-Aging．すなわち若返りですか・・・に挑戦．これは太ってしまったお父さんが医学的には効果があるといわれる方法でチャレンジします．もちろん精子が極端に減るといった副作用も承知の上で・・・．

興味深かったのが，敬虔なChristianがMuslimの生活に浸るというもの．USでのイスラム教のイメージは，Terrorist・・・．まあ，それは9.11とOsama bin Laden，Al Qaedaのイメージでしかないわけですが，彼らに大して良いイメージというのは全くないわけです．

それが田舎の方のより敬虔なChristianにとっては地球の正反対に行くようなもので，Jesus Christ以外を神として崇め，お祈りをするというのは，わたしのようなほとんど無宗教に近い人間とは全く違う感覚があるということです．

同じように，敬虔なChristianがGayの街San Franciscoに送られ，Gayで溢れる街で生活するというのも面白いです．特に田舎の方では，Gayは聖書に反するとか言って，かなり強烈にBashingし，社会の敵として見ているわけで，神の前ではみな平等というのはどこへ行ったのかと突っ込みたくなります．

その他は，都会で生活をする2人が，超エコな生活を体験するものと，健康的な生活をする母親が，大学生の娘のように，毎日酒をガンガン飲みまくるという無謀なものがSeason 1で挑戦されたものです．

Season 2では，
・ボランティアの不法移民パトロール員を不法滞在中の家族の家に．
・アウトソーシングのためクビになったプログラマーをインドに送りこむ．
・無神論者を敬虔なChristianの家に．
・ストレス社会に生きるセールスマンが，New Ageな世界（いわゆるスピリチュアル系とか，東洋の伝統的なものとか）に浸る．
・妊娠中絶賛成で中絶経験のある女性を，中絶反対のコミュニティに．
・Season Finalは，Morgan Spurlock自身が30日間，監獄で生活する．

共通のテーマとして，アメリカ社会の問題点にスポットを当てている点で，それがどう考えても非合理な社会の闇の部分であったり，ある一部分の人にとっては当然のことであったりするわけです．30日間挑戦！というと，なんだかアホな娯楽番組のようですが，実際は自由な国アメリカの社会に潜む病巣を取り扱った社会派番組なわけです．

特に宗教が絡む事項に関して言えば，いかに相互理解がないかということをまざまざと見せつけられるわけで，そういった差別や偏見が，この時代においても堂々と存在することがはっきりとわかります．まあ，はるか昔からそういうものを抱え続けて現代に至るのがアメリカという国なのかなと，かなり残念であり，歴史を見てみるとそういう国であるというのは一貫しているのかなと感じます．

ま，そういうアメリカという国の色々な面が見られるという点で，非常に興味深いShowです．なんかWOWOWで放映されたらしいですが，誰か観たというのも聞いたことないですね・・・．残念です．すごく面白いのに・・・．やっぱMorgan SpurlockのSuper Size Me!と同一視されてしまうってのがマイナスなんでしょうね．そういうShowじゃないのに・・・．