ジ・オフィス (原題:The Office) (US TV Series)

アメリカ版人望のないボス

オリジナルであるイギリスのthe officeをそのまま場所をアメリカに置き換えたようなシチュエーション。
ダウンサイジングが決まったオフィスを舞台に、人望のないボス、マイケルの姿を描く。
オリジナルはモキュメンタリーでしたが、こちらは普通のコメディショウ。

制作国:us.gifアメリカ
放送時間: 23分
ジャンル: コメディ
DVD発売: シーズン1~9 (US)
初放送: NBC 2005~2013
初放送(JP): 未放送
Huluで配信中!!

シーズン1全部観ました。

総合評価:☆☆☆
同情度:☆☆☆
イライラ度:☆☆☆☆


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当時(フレンズ後)、NBCは新しいコメディの模索に苦労し、手っ取り早く他国の人気ショウのリメイクを繰り返します。
前年はイギリスで人気を博したカップリングを放映。
しかし数話でキャンセル。

たまたま成功したのがこのThe Officeです。

数年後、オーストラリアの人気コメディ、Kath & Kimもリメイクしますが、こちらもずっこけます。

そもそもthe officeは、イギリスのショウにもかかわらず、2004年のアメリカのゴールデングローブ賞のコメディ部門で2冠(海外作品部門ではない)を獲得するなど、異常なまでの人気を獲得し、これならいけるだろうというのがNBCの考えなのでしょうか・・・。

紙を作る会社の地域マネージャーとして働くマイケル・スコット (as Steve Carell)は、"自称"世界一のボス。
ただ、現実にはまったく人望がなく、受けると思っているギャグはすべて滑っています。

というか、わたし自身はスティーヴ・キャレル自体が好きじゃなくてねぇ。
そもそも彼の存在自体が何もかもから浮いているという印象があります。そういう点では、主人公のマイケルと一致はしてるんですけどねぇ・・・。

地域マネージャー補佐を自称するドヮイト・シュルト (as Rainn Wilson)も変人で、彼の下で働くジム・ハルパート (as John Krasinski)は頭を抱える毎日・・・。

そのジムは、受付のパム・ビースリー (as Jenna Fischer)のことが気になって仕方ありません。
パムにはれっきとしたフィアンセがいますが、多少ジムのことを気にしていて、それが事をややこしくしています。

設定自体はほぼ100%、オリジナルを踏襲しています。名前が違うくらい。
各キャラクタや、経理部などの目立たないところの役回りや設定まで、ほぼそのままです。そこまでやるか・・・。

最初の3話くらいまではまったく同じ脚本で、主人公であるマイケルは、オリジナルのデイヴィッドの影を背負っています。演じるスティーヴ・カレルは、オリジナルの1話目を半分ほどで観るのをやめたそうです。独自のボスを描きたかったそうです。

しかし、どうしてもオリジナルと比べてしまいます。
そもそもオリジナルの方は観ていて主人公の浮き具合に悲しくなりますが、こちらはオリジナルを観てからこのアメリカ版を観ると、必死に模倣しようとしていてうまく機能していないところが悲しくなってきます。

そう考えると、オリジナルの役者達の素晴らしさが改めて分かりますねぇ~。

それを抜きにしても、マイケル役は非常に難しいようで、ただのアホというか、演技を見ていてかなり無理を感じます。
オフィス内の存在も浮いていますが、ショウそのものからも浮いているような気がします。

オリジナルはかなりドキュメンタリーっぽく作っていましたが、こちらはそれほどそういった感じを受けません。
あくまでテレビショウという印象。従業員へのインタビューシーンとか、ほとんどドキュメンタリーな感じがしません。

光の当て方や音声が、テレビショウっぽいのもその理由の一つでしょう。
キャラクターの着こなしもそうだと思います。
オフィスの環境音や雰囲気、会話の間など、コメディショウを前提とした作りになっています。
そこがオリジナルとの大きな違いですね。

キャラクタはオリジナルの呪縛を受けたままですが、シーズン1後半からは、アメリカオリジナルのエピソードを展開し、こちらは随分良くなったと感じます。

どうやらその後、アメリカオリジナル路線で軌道に乗ったようで、今では高い評価を受け、ロングランショウとしての地位を確立しています。結局アメリカ人もこういう何だか苦しい笑いを受け容れたということですね。

ひょっとしたら、イギリスオリジナル版を知らなければ、最初から楽しめるかもしれません。とはいえ、所詮はアメリカのオフィスが舞台ですので、文化的にどうにもしっくりしないかもしれません。

リメイク的視点

小説が原作にしろ、映画が原作にしろ、リメイクすると、元を知っている人はどうしてもそちらの影を追ってしまいます。
漫画が原作とすると一番わかりやすいかな?主人公とか、お前誰や~?っての多いですよね。

観る方としては、そこが非常に辛い点で、作る側も同じだと思います。
はっきり言って、各種設定もぶっちぎって、設定や構成の一部だけ模倣して、後は全く違うものにしたほうが、スッキリするんじゃないかと思います。

まあ、そういうのはもう個人的な視点でしかないですかな・・・。

いずれにせよ、観る側も作る側も、どこかで原作の影との見切りを付けなければなりません。まあ、このショウの場合は、オリジナルのキャラがあまりに強烈だったので、抜け出すのが大変だったように思います。

きっとこの先も似たようなことが起きるんでしょうねぇ。

直球評価

・序盤はオリジナルの影を背負って押しつぶされている。
・わたしもオリジナルの影を背負って観ている・・・。
・はっきり言ってマイケル役のスティーブ・キャレル嫌い。
・しかし、ショウから浮いている点ではマイケル役に合致。
・アメリカンバージョンの脚本は良かった。
・何だかんだで時間と共に慣れてきてる気がする。

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