TILT
世界は戦いのテーブルの上に
ラスベガスのポーカーテーブルを舞台に、様々な人が戦いを繰り広げる。
キングと呼ばれるザ・マタドールと彼に戦いを挑む挑戦者たち。
そして今日もまた、新たな挑戦者がやってくる。
キングの首を獲るために・・・。
制作国: アメリカ
放送時間: 43分
ジャンル: スポーツ、ギャンブル
DVD発売: シーズン1
初放送: ESPN 2005 全1シーズン 全9話
日本未公開
総合評価: 7.8/10
スリル度: 8.4/10
わかりやすさ: 6.0/10
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ポーカーはスポーツ?
コメディアンのデイヴ・シャペルいわく、「ESPNはスポーツチャンネルのくせして、何ゆえポーカーの世界大会を放映するかね?」と。まったくもってそのとおり。で、このポーカーのドラマもESPNで放映されています。
スポーツの定義を話し始めると長くなりますが、身体を動かすことがスポーツではありません。スポーツの定義の一つに、ルールが確立していることが挙げられると思います。なので、チェスやビリヤードもスポーツと分類され、ESPNで放映されています。
まあ、よくわからんですな。今やお金が動けばスポーツ。オリンピックに採用されればスポーツ。協会があればスポーツ。支離滅裂になりそうですが、左記は間違いではありません。
ポーカー(テキサス・ホールデム)のルール
日本でポーカーというと、5枚の手札に手札交換が1回というのが一般的でしょう。はっきり言って、これだとそれほど面白くなく盛り上がりません。
アメリカで一般的なのは、このドラマでも行われているテキサス・ホールデムという形式です。
プレーヤーの手札は2枚。交換はなしです。コミュニティカードと呼ばれる、全員共通のカードが最初3枚開かれています。手札の2枚と場札の3枚を組み合わせて役を作ります。
手札と場札を見て、チップを賭けていきます。賭けのステージが終わると、共有カードをさらに1枚オープンし、再び賭けます。さらにもう1枚オープンし、2人以上残っていれば手札を公開して勝負します。
といった感じのルールです。オンラインポーカーやっている人の方がきっと詳しいですね。
これの面白さは、それぞれが持ちうる役がいくらか想像がつくところです。
TILTとは?
TILTはポーカー用語で、熱くなって正常な判断ができなくなった状態のことです。on tiltとか言っていますね。
勝負事ですし、賭け事でもあるので、人は何かと頭に血が上りやすいです。そうやって、カッとなると、相手の心理が読めず、逆に読まれやすく単調になってしまうので、非常に悪い状態です。だいたいこうなるとそのまま負けてしまいます。
誰しもがそういう状態に陥るようで、ポーカーではそのティルト状態になった時、いかにして被害を抑え、その状況から脱するかを
ポーカーという戦い
ポーカーといえば、もはやギャンブルのためにあるようなゲームでして、このショウでもとんでもない大金を賭けながらプレイしています。そして、そこにはヤクザな世界があるわけです。普通は一回の掛け金に制限があるのですが、ここではノーリミットゲームと呼ばれる上限設定のないゲームがほとんどです。
大会などは基本的にノーリミットらしいですし。
ここでは'The Matador'(ザ・マタドール:闘牛士の意味)と呼ばれるドン・エヴェレスト (as Michael Madsen)がキングとして君臨しています。ザ・コロラド・カジノを拠点とし、ローボールことバート・ロジャース (as Don McManus)と組んで、イカサマで一般人から大金を巻き上げているようです。悪い奴め・・・。
彼を倒すためにやってきたのが、シーモア・アニスマン (as Kenneth Welsh)率いる3人組。巧妙に練られた計画で、ザ・マタドールに接触を図ります。
シーモアが選んだチームのエースであり、若きポーカープレイヤー、エディー・タウン (as Eddie Cibrian)
少女時代からすでにその才能を発揮し、その時すでにザ・マタドールとも接触していたマイアミ (as Kristin Lehman)
明るく陽気でありながら、作戦での自分のポジションに納得がいかないクラーク・マーセリン (as Todd Williams)
もう一つの勢力として,かつてザ・マタドールに弟のウェインを殺され、復讐を誓うリー・ニッケル (as Chris Bauer)。彼はシーモア達とは関係がなく、単独で行動しています。かなり無謀な気がします・・・。
しかし、独自のルートと様々な方法で情報を得ており、ザ・マタドールのイカサマの手法も熟知しています。ビデオを繰り返し観たりと、非常に研究熱心です。
本物感あふれる作り
物語のクライマックスであるワールド・チャンピオンシップのシーンでは、ESPNの番組そのままで、同じキャストやテロップが出て進行します。ドラマなのに、パッと見は本物の大会のようで、これは観ている方もワクワクします。手持ちのカードと共有カードから各プレーヤーの勝率を見せたりしていて、わかりやすくて非常に面白いです。また、本物のプロプレイヤーたちも登場しているそうです。
あまりポーカーはわかりませんが、そういった臨場感や緊張感は十分伝わってきますので、基本ルールと多少の用語さえ抑えておけば楽しめます。
このあたりはPLAYMAKERSと似ています。もちろんルールやESPNの中継放送の構成を知ることでより楽しむことができます。
真剣勝負の世界
単なるポーカーという一競技。いや、博打モノですが、非常に面白く仕上げられています。そもそも、ボーカーというゲーム自体が、人間の心理戦ですが、それをドラマという同じく心理を描く作品とうまく組合せ、良い者に仕上がっているといえます。
それほど緊張感が張り詰めているわけではないですが、そもそものあらすじからして面白そうですし、物語を追っていくと、観る側をうまく引き込む力が十分にあります。
全9話と短めですが、それぞれが少しずつザ・マタドールという標的に近づいていく感じや、テーブル上のゲームも含め、感情の揺さぶりなどの描写は素晴らしいです。
各話の最初にPreviously...、最後にNext on...があるのは非常に良いです。ストーリーモノにはこれがないとね。
ESPNのドラマとして、PLAYMAKERSというアメフトのドラマがありましたが、感じとしては非常に近いものがあります。PLAYMAKERSからはオーリー・アンダーソン (Executive Producer:制作総指揮)とT.J. スコット (Director:監督)が参加しています。TJってアクションモノだけじゃないんだ。
あらすじを見ただけではちょっとピンとこないかもしれませんが、非常に完成度が高く素晴らしいドラマです。日本でもWOWOWかどこかで放映してほしいものですが、未だ実現せず。ポーカーについての説明番組と一緒にやればいいんじゃない?ESPNでやっても誰も観そうにないし・・・。
配給会社さん、御一考を!!
PLAYMAKERSよりもこっちのほうがわたしにはとっつきよくて、かつ魅力的です。
直球評価
・ポーカーのルールさえ知ってれば楽しめる。
・フラッシュとストレート、どちらが上か知らなくてもよい。
・心理戦の命である心理描写はしっかりできている。
・全体のテンポがよい。
・フラッシュとストレート、どちらが上か知らなくてもよい。
・ポーカーのゲーム観戦の面白さも知ることが出来る。
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