グッドラックサイゴン (別題:「ベトナム1967」,「コマンド7 閃光のM16」,「NAM 地獄の突破口」)(原題:Tour of Duty)

過酷な戦争の前線と兵士たち

アメリカ史上、最も長く過酷な戦争となったベトナム戦争。
その戦争の前線で、ベトナム解放軍として戦うアメリカ軍のある小隊の生活を描く。

制作国: us.gifアメリカ
放送時間: 48分
ジャンル: 戦争
DVD発売: シーズン1~3, コンプリート(US)
初放送: CBS 1987~1990 全3シーズン 全58話
初放送(JP): WOWOW 1991~1992? Season2,3のみ

シーズン1,2を観ました。
シーズン1,2のDVDを持っています。コンプリートセット買いたかった・・・。
シーズン3DVDが、何故かプレミア化して高いです。
eBayで買ったけど、住所古くて返送されちゃった・・・。

総合評価:7.0/107.0/10
激しさ:6.4/10 6.4/10
暗さ:5.8/10 5.8/10


- スポンサードリンク -

はじめてのベトナム戦争ドラマ

このドラマでは、アメリカ軍が南ベトナムに駐留し、NVA (North Vietnam Army)北ベトナム軍やVC (Viet Cong=Viet Nam Cong San=Vietnamese Communists=ベトコン)と呼ばれる北ベトナム共産勢力のゲリラと戦ったベトナム戦争の前線が舞台となっています。

ゲリラ戦なので前線が存在しないとも言われました。確かにどれだけ後ろに下がっても、神出鬼没のようにベトコンが登場します。一般住民たちの村が点在し、無差別に爆撃を出来ないので、敵が現れてから空軍に援護を頼んだりしています。

そうした前線なき前線戦う彼らの命懸けの作戦、作戦の合間のほんの一時の休息、地元の人々との交流などが描かれています。

戦う兵士達

主役となるのはブラボー中隊 (Bravo Company)と呼ばれる中隊の第2小隊(Second platoon)に所属する人たちで、毎日死と隣り合わせの作戦を遂行しています。

ちなみにチャーリー・シーン主演で映画にもなった「プラトーン(Platoon)」は小隊の意味。

この第2小隊を実質とりまとめるのはジーク・アンダーソン軍曹 (as Terence Knox)。百戦錬磨のベテランらしく、冷静に、そして時には熱く、若者の多い隊を引っ張ります。根っからの軍人といったところ。周りからは"サージ(軍曹)"と呼ばれます。

三度目のベトナムでの軍務期間とのことで、戦場暮らしも長いです。ほんの少しですが、ベトナム語が話せます。いかにも死にそうにないタフなお人です。

このジークのように、何度も戦地に戻ってくる軍人達は、ベトナムへの長期派遣によって、本国での生活がうまくいかなくなってしまいます。そして本国での生活に絶望を感じ、再び戦地に戻るわけなのです。こうした人が何人も出てきます。

ここからは若者達の紹介。

マイロン・ゴールドマンは士官学校上がりの少尉(2nd Lieutenant)。父親は少将(Major General)で、エリートコースを歩んでいます。周りからは階級名であるルーテナントまたはLTと呼ばれています。まじめ過ぎてちょっと垢抜けられないところがありますが、しっかりしていて信頼がおけます。

心優しく、地元の人たちや仲間、時には敵に対しても情の厚い人です。とはいえ、実戦経験に乏しく、変に感情に流されたり、罠にはまったりと、実は頼りなかったりもします。それでも小隊の隊長で、一番偉いのです。

一等兵(Private First Class)のマーカス・タイラーは、黒人で隊のムードメーカーであり、お調子者です。女の子が好きで、目にするたびにちょっかいを出しています。熱くなりやすいですが、非常に勇敢な兵士です。

同じく一等兵のアルバレス・ルイスは、マシンガンが得意なプエルトリコ系です。作戦ではいつも活躍している勇敢な兵士です。気持ちもしっかりしていますが、うつに悩まされることもあります。

"ルー"とか"ルイー"と呼ばれることも多いです。

コーポラル(Corporal:伍長)のダニエル・パーセル、通称ダニーは、周囲からも評価が高い、腕の立つ男です。モンタナの高地出身で、黒人をほとんど見た事がなく、彼らに対する差別意識も全くありません。よって、小隊の誰とも仲がよく、真面目で愛国的な熱い若者です。

スコット・ベイカーはカリフォルニア出身の大男。その割りにガツガツしていません。ベジタリアンで栄養には詳しいです。ちょっととろい感がありますが、真面目な男です。

マーヴィン・ジョンソンはSP4、Specialist(技術兵)です。バックパックに色々な火器を担いでいます。黒人ですが、この小隊ではそれを気にする必要はありません。彼も真面目な働き振りから、ジークには信頼されています。

プライベートのロジャー・ホーンは敬虔なクリスチャンで、反戦主義者。戦うことを好みません。よって、重い通信機を運ぶ重要な役を任されますが、勇敢に戦うようになります。彼もSP4、技術兵です。ハーモニカがうまく、同じ趣味を持つジークは一目置いています。

DocまたはMedicと呼ばれる衛生兵は、最初のツアーでは日系のランディ・”ドック”・マツダが務めます。誰かが被弾する度に"Medic!"と大声で呼ばれます。シーズン3ではドックホックこと、フランシス・ホッケンバリーが務めます。

戦いのさま

彼らの小隊では、あまり人種差別というのは見られません。それどころではないというのが本音でしょう。とはいえ、キャンプなどではいざこざがよく起こります。こうしたところで結束のほころびが出るところが米軍の弱さの一つとも言われたそうですね。

やはり戦争モノというだけあって、たくさんの人が死にます。シーズン1では、毎回オープニング後に紹介されるある統計に基づいた事実に沿ったストーリーが展開されます。19XX年までにXX人のXXがどうなったとかそんな感じです。

アメリカバンザイ!!とかベトコンぶっ殺せ!!といった感じでは全くなく、単に前線の人たちについて描かれているので、政治的なところはなくて見やすいです。あまりに凄惨なシーンというのもそんなにありません。まあ、個人差はあると思いますが・・・。

どちらかというと、彼らの心情の描き方にぐっとくるような内容が多いです。特に反戦的な内容でもありません。

戦いと彼らの居場所

1シーズンで一つのツアーが終了します。そして、本国に帰ったりして、しばしの休息を得ます。勲章が与えられたり、昇進したりもするので、生き残って戦果をあげた人たちは階級が上がっていきます。

作戦が終わって基地に戻れば、彼らには熱いシャワー、美味しい食事、ビールにクラブと、戦地にいながらかなり普通に近い生活を楽しめるようになっています。近年の戦争報道で目にした方も多いと思いますが、これが米軍の強さの一要素とも言われています。

そんな中でも、仲間が次々と死んでいくのを目にして、パニックやうつ状態になっていく兵士もいます。理不尽な作戦に疑念を抱きながらも作戦を実行していきます。前線ではしばしば自分がいったい何のために戦っているのか見失ってしまうこともあります。

そういった葛藤を常に感じながらも、経験のある兵士たちは何とか落としどころをつけていきます。そういった彼らのサポートが無ければ、経験の少ない兵士は次々に潰れていくでしょう。そういった面を非常に感じさせられます。

シーズン2では、小隊はサイゴン市外のタンザヌー(Tan Son Nhut)基地付近に転送され、付近の掃討作戦が主となります。サイゴンが近いので、食料も豊富で、娯楽施設もたくさんあります。女性たちもたくさん出てくるので、兵士たちの楽しみは多くあります。

女性視聴者を取り込もうとしたそうですが、何だかアクション&ロマンスみたいな流れになってしまい、アメリカでは不評でした。わたしはそれはそれで悪くはないと思いましたけど・・・。シーズン3はまた作戦中心へと回帰します。

日本での扱い

日本ではWOWOW開局無料放送の時にシーズン2, 3が放映されたそうで、シーズン1を含む未放映分はレンタルビデオ(VHS)でリリースされているそうです。いまだに結構ファンも多いようですね。

「NAM 地獄の突破口」は、シーズン1の第1話、第2話を編集したもののようです。
シーズン1の以降のエピソードは「ベトナム1967」というタイトルのようです。

シーズン2は「グッドラック・サイゴン」、シーズン3はWOWOWでは「グッドラック・サイゴン2」、ビデオでは「コマンド7・閃光のM16」というタイトルのようです。ちょっとダサいよね・・・。
日本未放映のエピソードがいくつかあるようです。

海外ではDVDが発売されています。シーズン1, 2は比較的安価で容易に入手可能ですが、シーズン3とコンプリートボックスはプレミア化していて、ちょっとお高いです。わたしはついこの前、eBayでオーストラリア盤のシーズン3を買いました。

英語で観るには、軍隊用語や当時のベトナム戦争用語も多くて、慣れるまでは戸惑います。でも、調べながら観ていると色々と覚えられますよ。

音楽著作権の問題

アメリカ版のDVDは、音楽著作権の問題で、オープニング曲の"Paint it Black/The Roling Stones"をはじめとする多くの曲は別のものに差し替えられています。ちなみに字幕もなく、クローズドキャプションのみです。

Paint it Black流れないのはどうもねぇ・・・。あれがないとワクワク感が半減しますよ・・・。おそらく日本版のビデオなんかは大丈夫だと思います。

当時はデジタルの時にどうこうという認識が当然全くなく、ビデオならそのうち劣化するので、音楽が気に入ればCDを買うだろうという考えでした。
しかし、DVDが発売され、デジタルのクリアで劣化のない音源が映画やテレビドラマのDVDという形で売られてしまえば、CD売上に害を与えるという考えが、音楽関係者の間で一般化します。

よって、特にこうした大御所のアーティストなんかは反発して、DVDで発売される時は、別途著作権料をよこせ!言い値でこのくらいだなどと、法外な値段をふっかけてくるので、DVD制作会社としては、音楽を差し替えざるを得ないのです。

こうした件で一番有名なのは、リュック・ベッソン監督の映画「レオン」のエンディングで使われた、スティングの「Shape of my heart」が、サントラCDに入れられなかったという大失態。
確かテレビの「プロファイラー」でも、スティングの曲が挿入されているという理由で、シーズン1の第何話かがDVDに収録されていなかったような・・・。
こう書くと、何だかスティングだけが揉めているような・・・。

今はそういった事を見越しての契約をしているため、音楽が差し替わることはそれほどありません。今やDVD販売よりも、オンラインが主流になっていますし、音楽自体もオンラインで売られたりしていますからね・・・。




主なキャスト

クレイトン・エゼキエル・”ジーク”・アンダーソン二等軍曹 (Sergent. Clayton Ezekiel "Zeke" Anderson)
演:テレンス・ノックス (Terence Knox)
モンタナ出身でブラボー小隊の兄貴分。3度目ということもあり、タフで頼りになる兄貴分的存在。

マイロン・ゴールドマン少尉 (Lieutenant. Mylon Goldman)
演:スティーブン・キャフレイ (Stephen Caffrey)
士官学校上がりの少尉。位は高いけど、実戦経験はなく、最初は頼りない。父親は少将の軍人一家。

マーカス・タイラー (Private. Marcus Taylor)
演:ミゲル・A・ヌネス Jr. (Miguel A. Núñez Jr.)
黒人でムードメーカー。お調子者ではあるが、勇敢で真面目な戦闘員。女の子大好き。

アルバレス・ルイス (Private. Alberto Ruiz)
演:ラモン・フランコ (Ramón Franco)
プエルトリコ系。マシンガンが得意でタフな戦闘員。ネズミが苦手だが、しっかりしていた頼りがいがある。

ダニエル・パーセル (Corporal. Daniel "Danny" Percell)
演:トニー・ベッカー (Tony Becker)
モンタナ出身の愛国心溢れる若者。勇敢で意外とやさしい。

スコット・ベイカー (Private. Scott Baker)
演:エリック・ブラスコッター (Eric Bruskotter)
大男だが、おとなしい性格。力はあるので、大量の弾薬を運んでいる。カリフォルニア出身。

マーヴィン・ジョンソン (SP4. Marvin Johnson)
演:スタン・フォスター (Stan Foster)
ミシシッピの農場の息子。以前から戦地にいる技術兵。経験があるので自己主張も強め。漫画が好き。

ロジャー・ホーン (Private. Rooger Horn)
演:ジョシュア・D・マーラー (Joshua D. Maurer)
イリノイ出身の反戦主義者。兵士向きではないが、仲間を救うために全力で戦う心優しい青年。

ランディ・”ドック”・マツダ (Private. Randy ”Doc" Matsuda)
演:スティーブ・アカホシ (Steve Akahoshi)
日系でカリフォルニア出身。衛生兵で以前からブラボー小隊に所属。仲間を救うために戦場を勇敢に駆け回る。

フランシス・”Doc Hoc”・ホッケンバリー (Private. Francis "Doc Hoc" Hockenbury)
演:ジョン・ダイ (John Dye)
メンフィス出身の敬虔な保守系クリスチャン。眼鏡をかけていて、武器は携帯しない。

直球評価

・暗いけど暗すぎることはない。
・政治的な内容はほとんどない。あくまで前線の兵士たちの話。
・人種差別に関してはそれほど多く描かれていない。
・物語の連続性はほとんどないのでどこからでも観られる。
・ひどく残虐なわけではない。
・あくまでヒューマンドラマ。
・ある意味物足りないかも。
・元気があれば全話あらすじなど、サイトを作りたい。

- スポンサードリンク -