ラリーのミッドライフ★クライシス (原題:curb your enthusiasm)

天才TVプロデューサの実生活

あの超人気コメディ「となりのサインフェルド(原題:Seinfeld)」の制作総指揮として大成功を収めたラリー・デイヴィッド。
今度は自身を主人公とした爆笑コメディを制作。
リアリティっぽい非リアリティショウで再び世界を笑いの渦に巻き込む!!

制作国: us.gifアメリカ
放送時間: 30分
ジャンル: コメディ
DVD発売: シーズン1~8(US)
初放送: HBO 2000~ 8シーズン 82話
初放送(JP): SuperDrama ch 2005~

DVDで全部観ました!

総合評価:9.8/10 9.8/10
爆笑度:9.4/10 9.4/10
哀れさ:7.5/10 7.5/10


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伝説のプロデューサー

アメリカで人気No.1コメディの座を獲得し、今でも伝説の番組と呼ばれている「となりのサインフェルド(原題:Seinfeld)」。その共同脚本で、制作総指揮でもあるラリー・デイヴィッドは超有名人。アメリカのこの業界ではその名を知らない者はいないほど。道行く人もその事実を知ると驚きを隠せません。

とはいえ、制作側って画面に出てくるわけではないので、ほとんどの人はその顔は知らないのです。そんなわけで、一般人から見れば彼はあくまで一般人にしかすぎません。そんな彼の公私共に満たされた中にある、超理不尽な人生の数ページをかいまみるコメディショウです。

リアルな感じの作り方

リアリティショウ?というような作りです。変に作った感は多くなく、カメラも大きなものではないようなので、そんな感じがします。内容も彼のようなショウビジネスに関わる人間の日常を描いているだけです。

でも、よくよく考えてみるとあまりにも馬鹿馬鹿しい内容。こりゃー現実じゃないな、脚本あるわーと思いました。

ところが、このショウはなんと細かな脚本はないらしいのです。大筋の流れは決まっているものの、細かなところは全てアドリブとのこと。色んなパターンで何テイクかとってベストなのを選んでいき、時系列に撮影していくらしいです。役者の方もやりがいあるでしょうね。

こうした撮影法が独特な臨場感を出しているようです。

それにしても、これは凄い!!そんなざっくりな方法でこんなに面白く作れるなんて信じられません!!しょーもない話題満載ですが、不思議と面白くまとまっているのは素晴らしい!!こんなにも笑いがこみ上げてくるのってひょっとしてわたしだけ?と思ってしまいます。

天然トラブルメイカー

ラリーはそもそもトラブルメーカーの資質がある(実際、怒らせると大変なので、みんなキレさせないようにしてたとか・・・)ようで、出会う人出会う人と、ほんの些細なことでトラブルになってしまいます。妻であろうが友人であろうが初対面であろうが、トラブルを起こしてしまいます。

しかしながら、ラリー自体が悪いわけではなく、ほんのちょーっとした歯車の狂いが、連鎖してとんでもない方向に彼を引き込んでいくのです。そして、それらに対して一歩も引かないラリーの姿勢も素晴らしいです。が、それがまた無駄に波紋を広げてしまい、みんなに"How dare you!!"(なんて野郎だ!?)なんて言われてしまいます・・・。

ラリー・デイヴィッドは50代。東海岸のニューヨークから西海岸のカリフォルニアに引っ越してきて、のんびり仕事をしながら暮らしています。
彼の妻のシェリルは本物ではなく、役者さん。テレビ上の妻です。彼女ともけっこう小競り合いが絶えません。子供はいません。

マネージャーのジェフ・グリーンも本物のマネージャーではありません。演じるジェフ・ガーリンはこのショウの共同プロデューサーでもあります。太りすぎで生命の危機を感じています。

ジェフの妻スージーもしばしば登場します。機嫌が悪いことが多く、ラリーに真っ向から喧嘩を売ってきます。気性が激しくて面白いです。まさに恐怖政治の主。

わたしが好きなのはラリーの友人として出てくるリチャード・ルイス(本人)。あの勢いがある独特の雰囲気(表情も含めて)がステキです。ちょくちょく登場します。

もちろんサインフェルドに出ていた仲間たちや、その他有名人がゴロゴロ出てきます。色んな人が出てくるので、観ていて面白いです。

お間抜けで味のある曲

間抜けなオープニング曲("Frolic"/ルチアーノ・ミケリーニ(Luciano Michelini))もコンパクトでいいし、ショウで使われている、歌劇「カルメン」の「ジプシーの歌(Les tringles des sistres tintaient)」や、歌劇「ミカド(The Mikado)」の「学校帰りの3人娘(Three Little Maids From School Are We)」など、素敵な曲が満載です。

オープニング曲Frolicはラリー自身が銀行のCMで流れていたのを気に入って選んだらしいです。CD出たら買うのに・・・と思ったら非公式?のCDが販売されています。バラ売り曲の方はオリジナルかどうかわからないので、要確認!

で、非公式?CDの方、amazon.co.jpで買いました。イギリスの業者のようで、イギリスから届きました。いやー、オリジナルですね!やった!!ただ、上記の歌劇から引用した2曲は入っていません。権利問題のようです。その他はオープニングをはじめ、挿入曲が全24曲(Frolicは2バージョン)収録されています。

買ってよかったかって?一回聞いたらすごく満足してしまった・・・。

シーズン2から登場するラリーの鼻歌の数々も必聴!!アホすぎて爆笑間違いなしです。

新しい大爆笑コメディ

色々観ていて気づくのが、この面白さの質がちょっと他と違います。わーぃ面白いー!!とかって進んでみたくなるようなのではなく、観てしまったら笑ってしまったみたいな感じで健康的な笑いじゃない気がします。

最近はどっぷりはまって、何度でもDVDを観てしまいます。そのくらいわたしにはフィット。くだらなすぎて万人受けはしないかもしれません。

はっきり言って他のコメディショウとは一線を画していると思います。

シーズン2以降は各シーズン完結の明確なストーリーラインがあります。

シーズン2はかつての仲間たちとともに新しいテレビショウを売り込みに。
シーズン3はテッド・ダンカンらとともにレストランの共同経営に参画。いろいろとアイディアを出すラリーですが・・・。
シーズン4はなんとメル・ブルックスの映画化もされたミュージカル、「ザ・プロデューサーズ」に挑戦!!相方はデヴィッド・シュワイマーベン・スティーラー。どうなることやら・・・。
シーズン5は、実はラリーの父親が別にいるということを知り、自身のルーツを探す旅に出ます。
シーズン6は、あのハリケーン・エドナで家を失った、黒人のブラック一家を家に招き入れ、共に生活をします。
シーズン7は、サインフェルドの同窓会番組を企画しますが、一筋縄でいくわけにはいきません。

日本では、Super Drama chで放映されました。日本でのファンが増えることをただただ祈るばかりです。




コメディ伝説的視点

「となりのサインフェルド」という番組だけを観ている限りでは、彼の凄さはわかりません。しかしながら、その脚本の多くが、彼やジェリー・サインフェルドの実体験を基にしていると知った時、なんてアホな人生を歩んでいるんだ?と驚きました。

それを「Show about nothing!(テーマなしの番組)」と定義して、コメディショウとして成立させ、実際に放映させたという事実は凄いです。しかも、彼はいつも現場で細かな意見や指示を出し、あるべき方向へ引っ張っていきました。

その結果、なんでもないショウ。単に自分たちの経験を詰め込んだだけのショウが成功を遂げたわけです。

映画「Sour Grapes」は、「となりのサインフェルド」とこのショウの橋渡しのような存在。どっちつかずな90分テレビショウといった感じで、とにかく酷評されました。わたしも観ましたけど、正に中途半端な面白さでした。もう一言加えるならば、映画を売る才能はないってことかなと。

が、再びテレビコメディに挑戦したこのショウでは成功を収めました。ドキュメンタリーさながらの臨場感と、それを生むため、役者のアドリブに任せるという奇抜な手法は、笑いに新たな命を吹き込んだと言えるでしょう。
出演する役者も、いつもとは全く違った緊張感や充実感があると思います。

同じ手法で制作したカースティー・アリーの「fat Actress」は見事に失敗しました。手法そのものだけでなく、ラリー・デイヴィッドの経験と勘も必要だったわけです。

このショウは、ラリー・デイヴィッド伝説第2章と言ってよいでしょう。

主要キャスト

ラリー・デイヴィッド (Larry David)
演:ラリー・デイヴィッド (Larry David)
業界ではその名を知らない者はいない、超有名プロデューサー。切れると恐いという噂。

シェリル・デイヴィッド (Cheryl David)
演:シェリル・ハインズ (Cheryl Hines)
ラリーの妻。明るくはきはきしている。ラリーと衝突したら真っ向勝負。

ジェフ・グリーン (Jeff Green)
演:ジェフ・ガーリン (Jeff Garlin)
ラリーのマネージャ。太りすぎで、健康に気を付けねばならないはず。

スージー・グリーン (Susie Green)
演:スージー・エスマン (Susie Essman)
ジェフの妻。怒るととてつもなく恐ろしく、誰も手が付けられない。

リチャード・ルイス (Richard Lewis)
演:リチャード・ルイス (Richard Lewis)
本人役。ラリーの親友だが、いつもガールフレンドとの仲をラリーに引き裂かれる。

直球評価

・ラリー・デイヴィッドが一発屋ではなく、才能があることが確認できる。
・サインフェルドについては概要だけでも知っておくと良い。
・内輪ネタや業界ネタもそこそこある。
・ラリーかわいそう。
・スージーの怒号が面白い。
・視聴者の身の回りにも起こりうる素朴なネタが多くて良い。共感できる。

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