ブレイキング・バッド (原題:Breaking Bad)
家族の未来のために法を侵す
肺癌で余命が2年と宣告された化学教師のウォルター。
妻は第2子を妊娠中、長男は脳性麻痺のハンディキャップを抱えている。
家のローンもまだまだ残っている。どうせ消えてしまう命。
生きている間に稼げるだけ稼ごうと、麻薬の製造を始める・・・。
制作国: アメリカ
放映時間: 46分
DVD発売: シーズン1~5(US)、シーズン1~2(JP)
初放映: AMC 2008~2013
初放映(JP): DVDレンタル 2010~
U-NEXTで配信中!!
総合評価: 9.6/10
どぎつさ: 6.4/10
万人ウケ度: 6.0/10
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死期と金
ニューメキシコ州の高校で化学を教えている教師のウォルター・ホワイト (as Bryan Cranston)は、生活を支えるためにアルバイトにまで手を出す始末。
過労で倒れ、病院で精密検査を受けた結果、肺がんがかなり進行(ステージ3Aなので、まだ望みはある)していて、余命が2年と宣告されてしまいます。しかし、死ぬにはまだやり残したことが山ほどあります。
妻のスカイラー (as Anna Gunn)は、第2子を妊娠。これから子供にお金がかかります。家のローンもまだ残っていて、自分が死ねば、残された家族は家を手放すことになります。
また、先天性の脳性麻痺を持ち、まだ自立が出来ない長男のウォルターJr. (as RJ Mitte)も養っていかねばなりません。
ただでさえお金がかかる生活です。しかもこれからは癌の多額な治療費も必要となります。ご存じの通り、アメリカには誰もが受けられるような十分な保険制度はありません。
アメリカでは、教師というとステータスの低い職業で、
たった一つの特技と金
義理の弟で麻薬取締局に勤めるハンクに同行していた際、麻薬密造現場から逃亡する、元教え子のジェシーを目撃します。ウォルターはジェシーを訪ね、一緒に麻薬を製造し、それを販売することで合意します。
化学(特に結晶学)のスペシャリストであるウォルターの作る麻薬クリスタルメス(メタンフェタミン、覚醒剤の一種。日本でいうシャブ)は、非常に純度が高く、すぐに評判を得ます。
しかし、2人は所詮元締めではないため、下請扱いです。いつも元締めからの圧力を受け続けることとなります。
麻薬組織も縄張りがあり、非常に複雑です。様々な組織が絡んでいて、抗争も激しく、2人は次第に巻き込まれていきます。
懸命に、文字通り命懸けで頑張る二人ですが、どこかしらコミカルになってしまいます。というのは、ジェシーの短絡でどうしようもないアホさと、どんなに頑張ってもワルになりきれない中途半端さから来ているように思います。
それらを取り締まるのがハンクが所属する麻薬取締局 (DEA)ですが、突然現れた高純度のクリスタルメスの出所に全く見当が付かず、捜査は難航します。ウォルターには前科がないため、全くの死角なのです。
そのハンクの妻マリー、すなわちスカイラーの妹は、万引き癖があり、スカイラーにばれてからは疎遠になってしまいます。
ウォルターはとにかく金を稼がなければなりません。しかし、それは更なる危険へと踏み込んでいくことになります。そして恐らく戻ることも出来ない道なのです。
役者への評価
ウォルターJr. 役のRJ ミッテは、彼自身も脳性麻痺があるとのことですが、ジュニアのように症状が重いわけではないそうで、重度の患者を研究して、どのように演じればよいか学んだそうです。
ウォルター役のブライアン・クラストンは、FOXのファミリーコメディ、Malcolm in the Middleでお父さん役で出ていましたが、このドラマでの演技は、非常に高い評価を得ています。
日本でのさえない評価
日本ではレンタルが先行で開始され、http://www.breakingbad.co.jp/で第一話を無料で観ることが出来ます。また、当初はフジテレビTWO?で放映していました。
最近はシーズン2以降を観ようと掻き立てられるショウはほとんどありませんが、このショウはその例外に当たります。どんどん危険の沼地の深みにはまっていくウォルターを見逃せません。そういった引き込む作りは上手いです。
内容はかなりやばいのですし、放送コードも甘い(日本のDVDはどうかわかりませんが)ので、ちょっと大人向けです。また、単にシリアスなだけでなく、ちょっと笑える要素があり、緊張の連続に息を詰まらせすぎないようになっています。
日本では、DVD発売元でもあるSONYピクチャーズと、フジテレビTWOがプロモーションで大失敗し、長らくの間、レンタル市場でも大失敗扱いを受けています。
アメリカをはじめとする海外での異常な高評価をウリに、再度プロモーションをかけているようですが、あまりふるっていないようですねぇ・・・。
世界最高の評価
文句なく最近のお勧めショウです。かなりトゲトゲしい内容ではありますので好みが分かれるかと思いますが、試しに観てみてください。
アメリカでは、異例の評価を得ていて、最終シーズンの評価は、ギネスブックにも載ったそうです。映画やテレビの評価サイトでも、前代未聞の好評価を受けています。
一家の長的視点
このショウの面白い点はもちろん、一家の長であるウォルターが、なりふり構わずに金を稼ぐところにあります。消えてなくなることが決まった命を、そして全てを懸けて、一家の生活を守ろうとするところに、感動を覚えます。
「家族を守る」ということを、全てに於いて優先させ、それ以外のことはなりふり構わずに成し遂げようとします。
「葉隠」でも、食べ物のない家族のために、強盗をしてまで米をぶんどってきた斎藤佐渡守に、情状酌量の余地が与えられたという話があります。
また、妻がレイプされている現場に遭遇し、レイプ犯をぶち殺したために収監された男を、妻はずっと待ち続けたという話もあります。逆に、妻がレイプされているにもかかわらず、何も出来なかった男は、妻が去って行ったという話も聞きました。
家族が一家の長に求めることは、もちろん正しく生きて家族の模範となり、一家を養える、もしくはそれ以上稼いでくることです。それは両立されるべきではありますし、清貧という言葉もありますが、死んでしまうほど貧しければ、清いもへったくれもないのです。
時として、家族を守るために、全てを敵に回すこともあるかもしれません。それでも自分の家族という、小さな集団のために戦う姿。汚れた姿を家族には見せず、汚れた英雄であり続ける父親。これが今の社会に求められる父親像、英雄像なのかもしれません。
さてさて、ウォルターはどのような最期を遂げることやら・・・。
直球評価
・限りある命と、家族を守るために全てを懸けるウォルターがかっこいい。
・麻薬組織との関わり、警察やDEAなどの目と、緊張感が高い。
・相手は全く容赦なし。
・一方で、ドジで間抜けなジェシーにいらつきながらも、笑えてしまう。
・こうしたバランスが非常に良い。
・問題解決と新たな問題発生のテンポが良い。入れ替わりが巧妙。
・ウォルター、ジェシーのどちらも悪になりきれない人間っぽさがある。
・描写はきついところもあるが、耐えられるならお勧め!!
・お子さまとは一緒に観られません・・・。(内容的に)
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