30 ROCK/サーティー・ロック (原題:30 ROCK)

混沌の制作現場、ボスvsライターvsパフォーマー

ニューヨークのロックフェラー・ビルディング30番、通称30 Rockは、アメリカ最大のネットワークテレビ局NBCの本拠地。
リズ・レモンは人気ショウ「ガーリーショウ」を率いるヘッドライターだ。
しかし親会社GE (ゼネラル・エレクトリック)から下ってきたジャックによって、全てが崩壊に向かおうとしている。

制作国: us.gifアメリカ
放映時間:23分
ジャンル:コメディ
DVD発売:シーズン1~7(US)
DVD発売(JP):シーズン1~3
初放映:NBC 2005~2013
初放映(JP):フジテレビNEXT 2010~
Huluで配信中!!

総合評価:☆☆☆☆
日本人向け度:☆☆
疾走感:☆☆☆★


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リズ・レモン (as Tina Fey)は、NBCの深夜のライブショウ「ザ・ガーリー・ショウ」のプロデューサー兼ライター。看板女優で親友でもある、ジェナ・マロニー (as Jane Krakowski)を擁して人気を博しています。

しかしながら、親会社GE(ゼネラル・エレクトリック:電気機器メーカーでもあり、映画会社ユニバーサルの親会社でもある)から下ってきて、制作総指揮の地位に就いたジャック・ドナギー (as Alec Baldwin)によって、番組は方向転換を迫られます。

現場は天下りに勝てるのか?

ジャックは「ザ・ガーリー・ショウ」のてこ入れを指示されていて、その第一弾として、ハリウッドで干されたトレイシー・ジョンソン (as Tracey Morgan)を起用して、刷新を図ります。

この決定自体が制作側に大きな衝撃を与えますが、権力を行使してごり押しされてしまいます。

そのうえ、わがままなトレイシーが、ショウの名前が気にくわないと言いだし、結局「TGS with Tracey Jordan」というよくわからない名前に落ち着きます。

年増のジェナは、若いトレイシーに脅威を感じ、自分が端に追いやられるのではないかという不安に駆られます。

敵は内部にもあり

リズは上からの強引な圧力、奇抜なトレイシー、わがままで暴走がちなジェナ、変てこなライター陣に囲まれ、いつもさんざんな目に遭わされます。

仕事の方はそんな中でも何とかこなしてその手腕を見せてくれます。

恋愛に関してはかなり焦っているようで、いつも貧乏くじを引いてしまいます。
そして結構見境なしな感じもありますね・・・。

密かにこのままでは孤独死してしまうのではと恐れを抱いていて、その意識が無駄な焦りに繋がります。あと、思い込み激しいのもよくないね。

このように、制作側の内紛と、悲惨なリズのプライベートの2面を描いています。
可哀想なリズの頑張る姿を応援するショウと言ってもよいでしょう。

わたしはティナ・フェイに好感を持っているので、面白いショウだと思っています。

ショウのプロデューサーには、比較的まともで信頼できるピート・ホーンバーガー (as Scott Adsit)がいますが、実質上彼の仕事をほとんどリズがやっているように見えます。
あまり裏で苦労してないよね、ピートって。

元ネタはサタデー・ナイト・ライブ?

このショウは、主役を演じ、クリエイターでもあり、ヘッドライターでもあり、製作総指揮(Executive Producer)でもあるティナ・フェイが、土曜の深夜に放映されている「Saturday Night Live」、通称「SNL」でヘッドライターとして奮闘していた時のネタを基にして作ったそうです。

「SNL」は「TGL」のような音楽&お笑いのライブ番組で、時事ネタを多く扱って、今でも人気を博しています。もう30年以上続いています。親会社がGEで、彼らの圧力を受けながら番組制作をしていたようで、まさに「TGL」は「SNL」で起こった事、起こりうる事をネタにしているのです。

親会社がメディア企業ではなく、電機メーカーなので、企業や商品の宣伝に使われたり、企業の政治姿勢に対する影響を受けてしまうあたりは大変面白いです。

やはり資本が独立していないと自由にはできないのね・・・。

正直、日本のテレビ界もこういった性格はあるので、業界について知りたい方には非常に興味深い内容だと思います。わたしはこういうの好きですね。

バランスの取れたクオリティ

ティナ・フェイは、役者としても非常に味を出していると思います。
単純ですが、あの困った表情やイライラを押し殺す仕草など、わかりやすくて面白いです。

脚本だよりではなく、演出や演技、構成などもうまく作られています。
ジャックを演じるアレック・ボルドウィンも、いかにもお偉いさんという雰囲気が出ていて、合っていると思います。

何か裏がありそうな笑顔や、思い込んだら歯止めが利かなくなるところ、激情するところなんてのは、いかにもああいう大企業にいそうな気がします。

日本人からすれば、「アメリカの一テレビ局の内輪ネタに過ぎない!」なんて意見も多いですが、はっきり言ってその通りです。
これについてはもう何とも言えませんなぁ・・・。

メリケンオタク的視点

このショウに限ったことではありませんが、テレビショウや映画は、その制作国、または舞台となっている国に対する理解や知識がないと、面白さはすり減っていきます。

世に言うハリウッド映画が日本でそれなりに受け容れられているのは、そもそも世界戦略という視点で万人ウケするように作られているということもありますが、日本人がそれだけアメリカの文化に侵され、違和感を持たないようになっているからです。

しかし、テレビショウ、特にコメディショウは、世界戦略を映画ほど考えていないものが多いです。しかも「SNL」のようなライブショウは、時事ネタやゴシップネタも多く、それこそアメリカに住んで、アメリカの文化にどっぷりつかっていなければわかりません。

その「SNL」を模した「TGS」でも同様で、政治や有名人ネタなどは、なかなか掴みづらいところがあると思います。
共和党だの民主党だの政治ネタや、政治家の話なんてわからない人にはさっぱりでしょう?

おまけにNBCという放映局ネタになると、一般の海外ドラマファンではほとんどついていけません。どれがNBCのショウだとか、どんなショウが放映されていただとかまで知っていないと楽しめない部分が山ほどあります。

そういった理解度と面白さが他のショウに比べて比例的に変化してしまいます。
わたしのようなアメリカのテレビショウオタクでも、一般のアメリカ人の何分の一しか楽しめません。

まあ、それはしょうがないし、俺はいっぱい楽しめるから偉いということでもありませんし。

日本版の制作に携わった人や放映局は、「全米No.1コメディだから面白い!」みたいな根拠に欠けることを言いますが、実際に観てがっかりした人も多いかと思います。
まあ、売り込む方ははったりでも何でも言うので、よく起こりうること(全米が泣いたとかね・・・)とは思いますが、このショウに関しては顕著に表れたでしょうね。

というわけで、よその国のことなので、わからなくて面白くないと言っても全く構いませんよ!

直球評価

・アメリカの様々な事情に詳しくないと十分に楽しめない。
・上下左右から板挟みのリズを哀れむショウ。
・ドタバタ劇。
・ある意味同世代の女性向け。
・恋愛のだめさは一流で笑える。
・制作側の立場の弱さが悲しくもおかしい。
・シーズン終了間際のストーリーはイマイチ。

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