プッシング・デイジー 恋するパイメイカー (原題:Pushing Daisies)

一度触れれば死者に生を、もう一度触れれば永遠の死を

ネッドは,少年時代に死んでしまった者に触れると蘇らせる能力があることに気付く。
そしてもう一度触れると永遠の眠りについてしまうようだ。
大人になったネッドは、幼なじみのチャックを蘇らせてしまう。
だが、もう生きている彼女に触れることは出来ない・・・。

制作国: us.gifアメリカ
放送時間: 43分
ジャンル: コメディ
DVD発売: シーズン1〜2 (US)
初放送: ABC 2007〜2009
初放送(JP): AXN 2009〜2011?

総合評価:☆☆☆
世界観:☆☆☆☆★
色彩:☆☆☆☆


- スポンサードリンク -

主人公チャックの不思議なルール

こんな邦題でいいの?主人公が突き押しが得意の相撲取りデイジーみたいだけど・・・。

さておき、ここのドラマが作られた頃は、色んな形で死を扱ったり、ゴッドやそういったスペシャルパワーとか、スピリチュアルなんかをテーマにしたものが多くありました。もう数え上げたらきりがないくらい。これもそんな中の一つですが、ちょっとコミカルです。そして、その不思議なパワーのルールが面白い。

パイ職人のネッド (as Lee Pace)は、The Pie Holeなるお店を経営しています。少年時代 (as Field Cate)、車に轢かれた愛犬ディグビーに触れると生き返ったことで、自分の特別な力に気付きます。やたらと乱用していましたが、あるルールに気がつきます。

ある時、彼の母親 (as Tina Gloss)が突然倒れて死んでしまいます。慌てた少年ネッドはすぐさまに彼女に触れ、生き返らせます。しかし、しばらくして隣に住む幼なじみの女の子、チャック (as Sammi Hanratty)の父親チャールズ・チャールズが倒れて死んでしまいます。

そう、そこで彼は初めて、誰かを蘇らせることで他の誰かの命を奪ってしまうことに気付くのです。

そしてその夜、もう一つのルールに気が付きます。母親がお休みのキスをしたら、そのまま卒倒して帰らぬ人となりました。もう一つのルールは、生き返らせた者にもう一度触れると、元の死んだ状態に戻ってしまうのです。

そうなると、ネッドが触れても 二度と生き返ることはなく、永遠の眠りにつくのです。

さらに研究を続けたネッドは、新たにもう一つのルールを発見します。
誰かを蘇らせてから一分以内に再び触れ、元の死んだ状態に戻せば,周囲の別の命を奪わなくてすむのです。

これは、昆虫でひたすら実験した結果発見されました。
その時に代わりとして奪われる命は、同種のもののようです。
要するに、昆虫の場合は他の昆虫が代わりに死に、人なら人が代わりに死ぬということです。

チャックの秘密、みんなの秘密

The Pie Holeでは、腐った果物を蘇らせてトッピングに使っています。材料費が安く上がります。なので、ネッドは決して自分のパイを口にしません。口にした瞬間、腐ってしまいますからね・・・。パイを作るようになったのは、母親の影響です。

ネッドはある日、その不思議な能力を人に見られてしまいます。探偵のエマーソン・コッド (as Chi McBride)が犯人を追って屋根を渡っていたところ、犯人が足を滑らせ、ゴミ回収ボックスに直撃してしまいます。たまたま犯人に触れてしまい生き返らせてしまいますが、他の命が奪われては困ると、すかさず彼に再び触れます。

一部始終を見ていたエマーソンには隠し通すことはできないと考え、全てを話します。そして、お互いの利益(?)のためにパートナーということで、捜査の事情聴取のため死体を蘇らせることになります。

ある日、幼なじみでファーストキスの相手でもある、シャーロット・チャールズ (as Anna Friel)、通称チャックが何者かに殺されてしまったことをニュースで知ります。エマーソンと共に、捜査という名目で葬儀場に乗り込み、彼女を蘇らせて逃がしてしまいます。

というわけで、ネッドとチャックは直接触れることができません。お互い初恋の相手であり、触れられないながらもお互いを想っているのです。お互い向き合って一人握手や一人ハグをして相手との触れ合いを想像するシーンはなんだか微笑ましいです。

ネッドは間接的ながらも、自分がチャックの父親を殺してしまったという負い目を持っています。そして、これはチャックへの最大の秘密です。

父親の死後、チャックの面倒を見てくれたのが伯母のリリー (as Swoosie Kurts)とヴィヴィアン (as Ellen Greene)の2人です。かつてはthe Darling Mermaid Darlingsという、シンクロナイズドスイミングのショーをやっていた2人。リリーが右目を失ってからは、オモチャみたいな家に引きこもっています。

彼女たちは、チャックが生き返ったことを知りません。2人に死の大きなショックを与えてしまったチャックは、2人に存在を知らせたくないと考えています。

その他、The Pie Holeで働くオリーブ・スヌーク (as Kristin Chenoweth)は、ネッドの隣の部屋に住んでいます。ネッドに気がありますが、全く相手にされないのがちょっとかわいそう。ただ、結構主張が強いので、それもあってネッドも引いているような・・・。そんななので、もちろんChuckを目の敵にしています。

超能力探偵!?

各エピソードは、ネッドがエマーソンのお手伝いをしていくなかで物語が展開していきます。面白いのは、死人を生き返らせて話を聞く際に必ず時間を計るところ。そうしないと新たな別の被害者が出てしまいますからね。そうやって毎回事件を解決していきます。

なんか、テレビ版のデッドゾーンみたいだな・・・。

「死」というテーマ

そんな中で、それぞれのキャラクターの過去や関係を描いていきます。人数多くはないですが、十分に心を揺らしてくれます。母親の死以降の、ネッドの暗い少年時代についても多く語られます。これらは結構面白いです。

展開はそこそこ早く、色々な出来事起こります。シーズン1は9話ですしね。

かなりコメディ傾倒です。そのため、死について考える・・・といった感じではないです。ネッドの特別な力の設定が非常に面白い。そして愛し合っているのに触れることも出来ない切なさ。深く考えずに楽しんで観られるショウです。悪く言えば、ちょっと薄っぺらいですね。まあ、コメディショウなんで・・・。

非現実的な世界観とその表現

当時としては珍しく、CGIをふんだんに使いまくっています。the Pie HoleのビルがそもそもCGIだし。今時は当たり前なのでどうこう言うものでもないですけどね。そのちょっと嘘っぽい画作りが、おとぎ話のような世界観を非常によく表していると思います。

また、オリーブに歌を歌わせたり、音楽にも非常に凝っています。ショウの世界観をミグ都に構築し、ドラマの雰囲気をうまく盛り上げていますね。

主演のリー・ペイスはやさしそうで人気が出そうです。エマーソンを演じるシャイ・マクブライドはいいですねぇ。愛嬌のある役ですが、存分に表現しています。懐深いね、この人。

ショウが独特の雰囲気をかもし出している中で、チャールズ姉妹は見た目も演技もその世界観を守っています。

そして、このおとぎ話のような世界観を作っているもう一人の忘れてはならない人物は、ナレーターのジム・デイルです。雰囲気のある声しています。

そういえばこのドラマ、年齢を表すときに分単位まで数えます。例えば、ネッドが初めて愛犬ディグビーを生き返らせたのは、nine years, six days and three minutes old(9年6ヶ月と3秒歳)だそうです。こんな感じのナレーション、随所で出てきます。登場回数多いです。

9話という手軽さと、物語自体ちょっと軽いのと、やはり笑いがあるので非常に観やすいです。演出もたまに笑えるし・・・。ちょっとベタかもしれないですが、わたしは大好きです。

宗教臭さもまったくないですし、娯楽作品としてオススメです!演技は全体的に、ちょっと不思議な感じです。ちょっとかわいく、ちょっと面白く大げさで、ちょっともの悲しいこのショウの雰囲気を、それぞれが見事に出せていると思います。

そして、ちょっと色合いの濃い、いわゆるヴィヴィッドな画像。このちょっときつめの色が、またファンタジーっぽさを出していると思います。みなさんのテレビの調整のせいだけではないですよ。あえてこうした色合いにしているそうです。

なるほど、確かに絵本の中の世界のような感じがします。

制作はブライアン・フュラー (Bryan Fuller)。どこかで聞いたことのある名前だと思ったら、Wonderfallsやデッド・ライク・ミー。最近ではハンニバルを手掛けています。なるほど、なんだか納得!死や特殊な力の扱い方に共通している点がありますね。

ちなみに彼はヒーローズのWriter/Producerもやってます。





直球評価

・素晴らしい世界観とその表現力。
・妙な軽いノリと、妙なストーリー展開。
・画も音楽もよく考えられている。
・うーん、だけどシーズン2が今ひとつで、2年しかもたず。
・万人受けするかというと、非常に難しい。
・ここまで完成してるのに、ストーリー展開が何だかもったいない。
・そんなわけで、ベタ褒めしながらもイマイチ評価。

- スポンサードリンク -